き、君は本当に知らないのか？ - 洗濯屋のケンちゃんの風俗コラム ｜口コミ風俗情報局

風俗関連の話題ではありますが、この話に風俗の嬢は出てきません。

確か平成20年のことなので、13年前、ということになりますか。
ある遠方の地方都市に会社の女の子と２人で出張で行きました。
彼女は私よりほぼ一回り歳下なので、当時は30歳を越えて間がない年代で、まだ独身の子です。
とにかく優秀な子で、仕事では頼りにしている人でした。

あ、最初に断っておきますが、その子とどうにかなっちゃった、って話じゃないですからね(笑)

うちの職場は交通機関も宿も自分で取るので、一緒に出張とは行っても別の宿でした。

でね、私は到着した夜はしっかり遊ぼう、なんて思っていたわけですよ当然(笑)
ところが、ホテルの部屋で着替えていると、彼女からその地方で有名な地鶏を食べに行きたいので連れてってください～と電話が。

んー、しゃーないな。
私は一人居酒屋が大好きなので、何人かで出張に行ってもたいてい夜は一人で飲みに行くので、風活しなくても単独行動が常なのですが、女の子が一人で食事に行くことは男が思うよりずっとハードルが高いことも聞いているので、まあ仕方ないな、と彼女を連れて地鶏を食べに行くことにしたわけです。

余談ですが、私の会社には一人焼き肉は平気で行くくせに一人ラーメンができないという妙な女の子がいます(笑)

まあそんなわけで、互いのホテルの中間あたりで待ち合わせて、急いで調べた地鶏の鉄板焼きを食わせてくれる店に向かって歩き始めたわけです。

実は私、その町には前に訪れたことがあって少しは土地勘がありました。
なので歩いているうちに、ちょっと待てよこの道は確か…と懸念していたら、やはり道の両側に「入浴料5000円」という看板が(笑)
ああこの店、前に来たときに入った店だー、なんてちょっと気まずいなぁ、と思いながら歩いていたら、隣を歩いている彼女が素っ頓狂な声をあげました。

「ええっ？お風呂に入るのに5000円もかかるんですかぁ？」

おい声が大きいよ(笑)
あ、すみません。でもびっくりしたので。
驚くことはないだろ(笑)　「高いお風呂屋さん」じゃん
え？高いお風呂屋さんて何ですか？
お風呂に入るのにほんとに5000円も取られるんですか？
いやいや中でもさらに２万円くらいは取られるから
ええええっ？？？お風呂に２万５千円～？
おい声が大きいって(笑)

この頃、私はようやく気づきました。
こいつ、ほんとに何も知らんな？

彼女の質問責めは地鶏の店に入るときにも続きます。
店員に先に案内されながらも、そんな高いお風呂って、お湯に金粉でも入ってるんですか？(笑)

店員が目を丸くしてこちらを見たかと思うと、笑いをこらえながら引っ込んでいきました(笑)
周りの席からもニヤニヤ顔がこちらを伺ってます。
これは相当恥ずかしい見せ物だ(笑)

席に座って、
まあ落ち着け。ちゃんと説明してやるから

ビールが来ました。こりゃ飲まなきゃやってられん(笑)
地鶏の鉄板焼きを注文します。
注文を取りに来た店員はさっきの席に案内してくれた店員とは違う人なのですが、興味津々の様子で目を輝かせて注文を取り終わっても立ち去るのがワンテンポ遅れてます。
さっさとあっち行けよ。どうやらバックヤードでは既に話題になってるらしいな(笑)

よし店員も立ち去ったな、説明を続けよう。

あの手の風呂屋さんはな、風呂は個室にあるわけだ。
いやいや落ち着け、お湯は別に温泉でもないし金粉も入っていない普通の水道水のお湯だ。
いやだから落ち着けって。浴槽も１人で入るのにちょうどいいくらいの大きさだ。別に大浴場を独り占めするから高いわけじゃないんだ。

でな、その部屋は半分が風呂場で半分は普通の部屋で、その部屋にはベッドが置いてあるわけだ。
そんでその部屋には女の人がいるわけだ。
これで分かったろ？

あぁ、お風呂に入ってからマッサージもしてもらえるんですね！それで高いんだ。
…でもマッサージだったらホテルでも4000円も出せば呼べますよね？２万５千円て高すぎませんか？

……こいつ……30ツラぶら下げてほんっとに何も知らんのか？

いいか、その部屋に入ったら、客も女の子も真っ裸になるんだ。個室で男女が裸になってすることは何だと思う？

すると彼女はたっぷり１分は沈黙して、突然叫びました。

ええ～っ？それって〇法ですよね？

衝立で仕切られた隣の席から、ぷっと小さく吹き出す声が聞こえました(笑)

いいか、個室で行われることはあくまで客とコンパニオンの双方の自由意志による合意の基で行われることであって、店の人間は個室の中で何が行われているかについては関知しないのだよ。

ううー、そんな屁理屈が通用すると思ってるんですか？

現に通用してるし、それがオトナの世界というものなのだよ。

あ、店員が注文した料理を持ってやってきました。
さっきの店員は２人とも若い男の子でしたが、今度は学生のアルバイトと思しき可愛らしい女の子です。
……おいこいつも目をキラキラさせて料理を持ってるじゃないか(笑)

するとふいに彼女が言いました。

ケンちゃんさんもそのお風呂屋さんに行ったことあるんですか？(笑)

おいてめぇ、このタイミングでその質問をするんじゃねーよ(笑)

料理をテーブルに置くバイトのこの顔をちらっと見ると、歯を食いしばって笑いをこらえてるじゃないか(笑)

……君は本当に何も知らないんだな。
この国では男はこの風呂に入らないと成人と認められないんだぞ。この風呂に入った時に発行される入浴証明書がないと実印の登録ができないんだ。だから車も買えないんだぞ。

バイトの女の子が背中を震わせながら引き上げて活きました(笑)

………………知りませんでした……
じゃあ、私のお父さんもこのお風呂屋さんに行ったんですね？

そのとおりだ。婚姻届を出すには実印が必要だからな。


いや、疲れました(笑)
ホテルに帰ったら改めて遊びに行く元気もなくなってましたから(笑)

あ、その店で会計をするとき、なぜか狭いレジに３人くらい出てきてましたね(笑)



さてその数年後、彼女も結婚しました。
結婚休暇が明けて出勤してきた彼女が私に言いました。

婚姻届、出しましたけど実印は必要なかったですよ？(笑)

何言ってるんだ、去年民法が改正されたのを知らないのか？

というデタラメを喋っていたら、横で聞こえていたらしい別の女の子が私に聞いてきました。

婚姻届に実印がどうのって、何ですかそれ？(笑)

いや、話せば長くなるし説明しにくい話何だが(笑)

その数週間後、会社の有志で彼女の結婚祝い飲み会をしました。旦那も来てもらって御披露目的な。
その飲み会が適度に乱れた頃、旦那が私の隣に移動してきて、はじめまして妻がお世話になってます、なんて型どおりの挨拶を交わしたのですが、しばしの談笑の後、彼が笑いをかみ殺した顔で、ほんとに妻がご面倒をおかけしたようで、と言いかけて腹を抱えて笑い崩れてました(笑)

その数年後、彼女は旦那の転勤に伴って退職したのですが（あんなにデキるやつが専業主婦なんて日本の損失だ、って思いましたが）、それから５年くらい経ってから来た年賀状に「やっとアレの意味が分かりました」と書かれてました(笑)