タイトル | 家出先の東京でアジア系売春婦に諭された思い出 |
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投稿者 | 名無しさん(ID:9358) |
投稿日 | 2016年01月22日 |
『家出先の東京でアジア系売春婦に諭された思い出』 高校2年の秋。 学校も勉強も親も地元も友人も、とにかく何もかもが嫌になって家を飛び出したことがある。 家出をする子どもってのは大抵不良ですが、私は別にヤンキーではなく、とにかく全てに嫌気がさして家を出たのです。 田舎の暮らしも人間関係も、親がいることも学校に行くことも、何から何まで嫌になったのです。 とりあえず遠くへ行きたい。家から離れたい。 ろくな計画もないまま、家の離れに隠しておいた貯金を手に電車で東京に向かいました。 電車の車窓から肥溜めのような故郷が離れていく様子を見ていると、心がスーっと軽くなっていった。 寂しさって何のこと? 一人の方が気楽でいい。 着の身着のまま計画も立てずなにも持たずに電車に乗ったので、東京に着いた私はさっそく途方に暮れました。 地理も常識も分からないまま大都会東京を闇雲に歩き出します。 皇居や東京ドームといった観光名所を回りながら適当に大きな通りをまっすぐ歩いていくと新宿に着きました。 そこから更に線路沿いを進んでいくといつの間にか立川まで移動していました。 東京に着いた昼頃から30数キロ歩いたことになるので、辺りはすっかり暗くなっていました。 今でこそ立川を辺境の地だ何だとぼろくそに貶していますが、家出をした当時は立川駅を見て驚いたものです。 シコリアン「モ、モノレールが走ってる。これは都会だ!」 田舎者にとってこれは衝撃です。 とりあえず多摩都市モノレールに乗車して銀河鉄道のような景色を楽しんだ後で、夜の立川を散策することにしました。 東京も秋の夜は冷えます。 家出少年には寝る場所もなく、巡回中の警察に見付かるわけにもいかないので、夜をどうやり過ごそうかと道端で途方に暮れました。 知らない町に家出をした少年少女には行ける場所がないのです。 人通りの多い立川駅南口のおっぱいストリート(カラオケ館が目印)から薄暗い路地に移動して どこかに安全で暖かい寝床がないものかと悩んでいると、通りの暗がりから若い女が一人こちらに近づいてきました。 若い女「ねぇ、今なにしてるの?」 シコリアン「べつに何もしてないけど」 若い女「それならこれからマッサージしませんか…あれ、君ちょっと若いね。何才?」 シコリアン「何才でもいいじゃん。べつに」 若い女「高校生?」 シコリアン「何でもいいじゃん。べつに」 若い女「じゃあマッサージしない?」 シコリアン「マッサージなんかべつに…」 そこまで言って気付きました。これは警察24時でよく見るアジア系売春婦の客引きだと。 初めて現実の売春婦を目の当たりにした私の感想は『なんだこの綺麗なお姉さんは!?』という間抜けなものでした。 アジア系売春婦なんて、どうせ性格の悪いおばさんだと当時の私は思っていたのですが(実際正しいのだが)、声をかけてきた姉さんはどこからどう見ても利発そうで気立ての良い美女でした。 外見はひと昔前のタレント白石美帆に似ていました。アジア系だよね。白石美帆の顔って。 ふつうは道端のキャッチには捕まってはいけないし、アジア系売春婦なら尚更無視するべきなんですが。 なんとなく興味がわいて20才くらいの白石美帆似の姉さんと話すことにしました。 シコリアン「姉さんはここで呼び込みをして、マッサージをしてるの?」 白石姉さん「そうだよ~。60分4000円で私がマッサージするよ」 シコリアン「ふーん。高いね」 白石姉さん「そうかなぁ。私が嫌なら、あそこのおばさんだと一万で最後までだよ」 シコリアン「最後って?」 白石姉さん「最後まで。私はマッサージしかやってないんだよ」 シコリアン「へぇ…みんな勘違いしそうだね」 白石姉さん「うん。お客さんが『いくらで出来る?』って聞いてくるから疲れる」 シコリアン「お姉さんは綺麗だから、マッサージだけでもたくさん呼べそうだけどね」 白石姉さん「ふふ。ありがとう。君も私の国ならモテそうだよ。カッコいいから」 シコリアン「日本はダメなのか。ありがとう…」 ここまで話して違法風俗店の白石姉さんへの印象がガラリと変わりました。 遠征売春婦にありがちな世を拗ねたような態度やふてぶてしい言動がまるでなく、にこにこした明るい表情は親しみやすさすら感じさせる。 客引きさえしていなければふつうの女の子と同じである。なぜ違法風俗で働いているのかまるで理解ができない。 無性に白石姉さんのことが気になったので、4000円を払ってマッサージを受けることにした。 家出した高校生が違法マッサージ店でサービスを受けるってどうなんだ?とは言ってはいけない。マッサージには年齢制限などないからだ。 白石姉さん「急にどうしたの? 本当にいいの?」 と姉さんに確認されながら店舗へと案内され、違法マッサージ店に足を踏み入れる。 緊張しながらカーテンで仕切られただけの個室に入り安いベッドに腰をかけます。シーツを変えていたとしてもこのベッドには寝たくない。 白石姉さん「あれー。横にならないのー?」 シコリアン「うん。白石姉さんと話がしたい」 って感じでベッドの縁に並んで腰を掛けて時間一杯話していました。 話している間、白石姉さんは「マッサージの代わり」と言って手を握ったり背中をさすったり頭を撫でたりしていました。 温かい。 姉さんから撫でてもらうまですっかり忘れていたが、人間は温かい生き物なのだ。 人の温もりを違法マッサージ店で働く姉さんから思い出させてもらうなんて夢にも思わなかった。 マッサージの時間が終わって店の外に二人で出て、なんとなくお互いの身の上話を話し合って、白石姉さんの事情も聞いたりした。 ふつうの学生として留学して日本にやってきて、自分でも学費や生活費を稼ごうと同郷の知人から割りの良いアルバイトを紹介してもらい、入ってみたら違法マッサージ店だった… とかなんとか。 白石姉さん「こんな職場とは思っていなかった。だけど、簡単に辞められないんだ。それでも、このまま終わったりしない。何があっても負けない。私は絶対に明るい場所で生きる!」 シコリアン「姉さんは強いね。何も考えずに家出してきただけの自分とは違うよ」 白石姉さん「シコ君は家もあるし家族もいるんでしょ? それならもう1回帰って、そこでがんばってみなよ」 シコリアンか「まだ会いたくない。別にがんばりたくない」 白石姉さん「もう、子どもだなぁ。。今日は遅いし泊まれるところ教えてあげるからそこで休むといいよ。明後日になってまだ帰りたくなかったら、○時にここにきて」 そして2日後。 昼間に指定の場所に行くと白石姉さんがもうそこにいました。 よく見ると姉さんの隣には高そうなスーツを着た30才くらいの仕事ができそうな好青年が立っています。 一瞬こちらに視線を移した姉さんは、男の手をとって路上に停めてあるドイツ車に一緒に乗り込みます。 車の中で姉さんは男に腕を絡めて激しいキスをしていました。 それを見た私の心には、男への嫉妬とか姉さんへの軽蔑などと言った感情は少しも沸き起こりませんでした。 白石姉さんが『何があっても負けない。絶対に明るい場所で生きる』という決意を私に見せ付けたのだと分かっていたからです。 帰りの電車に乗ったのは、その日の夜のことでした。 たった3日間の東京への家出でしたが、家出から帰った私は以前とは決定的に気持ちに変化が生まれていました。 『何があっても負けない。どんなにつらいことがあっても必ず自分の人生を生きる』 私は白石姉さんと会って、ようやく生きる指標みたいなものを持てた気がします。 今までは夢も希望も目標も何もないままで、ただ惰性で生きてきただけだったのです。 進路とか進学とか、現実の問題と向き合い始めたのもこれからです。 もし家出をして白石姉さんに会っていなかったら絶対に進学なんてしなかっただろうし、人間関係を全て捨てていただろうし、就職もしなかっただろうし、すぐに退職していたと思う。 つらいことがあっても負けない。 そんな大事なことを風俗で働く優しい姉さんから教えてもらった。そんな思い出話でした。 長話を読んでくれた根気強い方、ありがとうございました。 長かったよね。 書いてる方も大変だったのでよく分かる。 | |
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