タイトル | 『切ない朝』の話 |
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投稿者 | 風のヒューイ |
投稿日 | 2020年05月19日 |
『『切ない朝』の話』 高校時代の話、正確には高三の11月。もうウン十年前のお話… 学校からの帰り道、俺は彼女と電車に乗っていた。 夕方5時台の阪急神戸線は帰宅ラッシュ前で、車内は少しずつ混み出しては来ているがまだ2人で座れるくらいであった。 彼女は俺の自慢だった。 大人しい子だったけど目鼻立ちのはっきりした子で小柄でスレンダーで、よくこんな子が俺なんかと付き合ってくれたよな、といつも不思議だった。 俺と彼女は別の学校だった。 俺は男子校、彼女は共学。 電車の中で一目惚れした俺が人生最大の勇気を振り絞って告白の手紙を渡したのだ。今の時代ならメールだとかLINEだとかSNSだとかマッチングアプリだとかあるんだろうけど、当時ではそれが俺の出来る全てだったのだろう。 ダメ元と思っていたが数日後電車の中で彼女から返事の手紙をもらった。答えは「こちらこそ宜しくお願いします」というものだった。高三の6月のことだ。 再び電車の中、彼女がいつものように穏やかにゆっくり話す。 「こないだね、クラスの男子に付き合って欲しいって告白されたの」 「えっ?それでどうしたの?」 「もちろん断ったよ、私にはヒューイ君って彼氏がいるんだもん」 『彼氏』…その言葉に俺はなんとも言えない優越感を覚えた。それだけでも満たされる思いだった。 話は進路の話題に移った。 進学校で優等生の彼女はすでに某女子大へ指定校推薦が決まっていた。それに対してたいして勉強出来ない俺はこれから受験に挑まなければならなかった。時は私大バブル全盛時代、第二次ベビーブームの真っ只中、苦戦が予想された。 「一緒に大学生になろうね」 そう言って彼女は吸い込まれるような綺麗な目で俺を覗き込んだ。 やがて彼女の降りる駅が先に来て、「じゃあまた明日」とサヨナラしていった。 ひとりになって車窓に流れる六甲山系を見ると陽はどっぷりと暮れていて、なぜかもう二度と彼女に会えないような気がして泣きたい気持ちになった。 …という夢を見ました。 俺は前日から酷い頭痛で夜の9時くらいに床に付き、目覚めて時計を見たら早朝5時過ぎだった。 ウン十年前の11月の午後5時過ぎから2020年の5月の午前5時過ぎに引き戻された感覚。 それでも夢の中の感覚はとてもリアルに残っていて、あの頃の時代感や切ない感情、彼女への恋心なんかが寝起きの俺に襲いかかり、思わず泣きそうになってしまい、何かにぶつけたくなり思わずコラムに書き出したわけですが、ここまで書いといてある重大なことを思い出したのです。そもそも俺、高校時代彼女なんていなかったよな… じゃあ今の夢に出てきた子は誰? 妙にリアルだったし絶対どこかで会ったことあるんだけど… でもあんまりだよね、眩いばかりに輝ける青春時代の記憶や感覚をこんなおっさんに突き付けて。 めちゃ恋がしたくなりましたよ。 もう高校時代のような恋はできないけどおっさんはおっさんなりの恋を。 とはいうものの恋自体も相当ハードル高いから、せめて風活させてくれ! 早くオキニちゃんに会わせてくれー! と叫ぶ5月の朝です(^^) | |
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