タイトル | 上野駅 公園口 (オーケストラが奏する○○○シーン) |
---|---|
投稿者 | moonlight |
投稿日 | 2016年11月12日 |
『上野駅 公園口 (オーケストラが奏する○○○シーン)』 (申し訳ありません。風俗、出て来ません) 【1】 今、友人が上野にいる。 だが、上野は上野でも、不忍口・入谷口・浅草口ではない。本日は、公園口利用である。東京文化会館で、ウィーン国立歌劇場『ワルキューレ』公演が今、行われているのだ。 『ワルキューレ』といえば『地獄の黙示録』の爆撃シーンでも使用された「ワルキューレの騎行」が有名なワーグナーの楽劇。畢竟の大作『ニーベルンクの指環』四部作のひとつだが、その中で一番の人気作・魅力作である。 しかし、その第一幕は何と「兄妹の近親相姦」と「不義密通」なのである。 (妹には夫がいる。といっても無理矢理の婚姻だが)。 そもそも、この『ニーベルンクの指環』自体が、「世界を支配できる指環」を巡っての神々・矮人族(ニーベルング族)・巨人族・人間族の数十年に及ぶ闘争の大河楽劇である。そこには、殺人・陰謀・計略・裏切り・不義、何でもありである。 何しろ、主役のひとり、神々の長であるヴォータン自身が、指環を手に入れるための計略や不義、殺人教唆を平気で行うのだ。その詳細を書くと、腹が立つし(しかし音楽は素晴らしい)、本サイトの趣旨から外れすぎるので割愛しよう。 しかし、ここでの近親相姦兄妹の不義密通の場面は美しくも哀しい。およそワーグナーのオペラには共感できる登場人物はいないのだが、ジークリンデ(妹)にだけは幸せになって欲しい。彼女を不幸にしているのは周囲の敵族ばかりではない。父親のヴォータンの権力欲と兄ジークムントの無力さ・浅薄さは本当に許しがたい(でも、音楽は素晴らしい)。 【2】 近親相姦の場面といっても、肝心の行為そのものの場面は幕内で描かれる訳ではなく、第一幕の終わり第二幕が始まるまでの幕間の出来事でということになる。 ★本日、見にいった友人には、是非とも両幕の休憩時間中に、麦酒か葡萄酒でも飲みながら濃厚で危険な近親相姦のシーンを想像して頂きたい。しかし、間違ってもジ○○○・ノ○○ンの巨体は思い浮かべないようにして下さい。(彼女も歌唱と表情の演技は素晴らしい)★ だが、幕が開く前に、音楽(前奏曲)が濃厚なベッドシーンを奏でるオペラもある。リヒャルト・シュトラウスの『ばらの騎士』である。 こちらはアラサーの美人元帥夫人(マルシャリン)と十代の若いツバメ(オクタービアン)の、こちらも不倫の場面から幕が開く。冒頭の場面は、ふたりが昨夜の余韻に浸りながらの枕話のシーンである。ただし、男女の歌手ではなく、宝塚のように男役・女役ともに女声歌手が演じて、非常に美しい。美人歌手の巨乳が楽しめる映像がソフト化されているのも嬉しい。 ベッド・シーンそのものは、最初の幕が上がる前の第一幕への前奏曲で描かれる。なにしろ、冒頭からオーケストラが愛欲の情熱的な高まりを表現するし、ホルンの咆吼などはまるで発射の勢いを描写するようだ。その後の下降音型は、絶頂に達した後の女性の落ちていく感覚か。 音楽で表現したベッド・シーンとしては見事のひとことである。 だが、それは明らかに十代の○行為の描写だ。若いが故の性急な衝動、それを経験豊かな年上の貴婦人(といってもアラサー)がやさしく受け止める。そして、事が終わり、迎える穏やかな朝。それらがすべて音楽だけで表現されるのだ。 以上は、全て、幕が上がる前の出来事としてオーケストラ曲として作曲されているのだが、最近は前奏曲の場面で早くも幕を上げ、行為を演じてみせる演出もある。市販ソフトでは、照明を落としたシルエット風の動きながら、互いに抱き合い、もどかしく脱衣し、マルシャリンが若いツバメのパンツをはぎ取る場面まで見せて、ベッドに倒れ込む演技を見ることが出来る。 嬉しいことである。 ★このオペラ、十代の美少女も登場する。これが無類の女好きの中年ハゲのオッサンも出て来て、これが許せないことに美少女の婚約者である。だが、彼が若い女の子とのムフフを想像しながら鼻歌ワルツする場面をこよなく愛するファンももいる。私は終幕の女声三重唱と二重唱が絶美であると思う。 ★シュトラウスの美少女オペラといえば『サロメ』がある。ただし、こちらはただの美少女ではない。新約聖書に登場する洗礼者ヨハネのの声だけを聞いて彼に恋した王女。だが、彼から拒絶されると義父である王にヨハネの生首を所望する凄まじい美少女だ。 このオペラには、その首を手に入れるための美少女のヌードダンスや、彼女が生首に接吻する場面もある。もちろん、幕の中の舞台上で演じられる。生首接吻シーンでは「まるで○ェラチオ」のように貪る演出もソフト化されている。但し、美少女の容貌・スタイルのオペラ歌手はなかなかいない★ 【3】 『ばらの騎士』の性描写シーンは幕が開く前だが、開幕後の舞台で男性の逞しい律動を表現したオペラもある。モーツアルトの『ドン・ジョヴァンニ』である。 『ばらの騎士』の冒頭が若い男女の不倫ならば、『ドン・ジョヴァンニ』は主人公が未婚女性の寝室に押し入りレイプを企てる場面から始まる。レイプは未遂とも、婚約者と間違えた彼女が不覚にも侵入者を受け入れてしまったという説もある。 このオペラで、ドン・ジョヴァンは各国老若4000人もの女性を堕とした好色漢である。その彼が、第一幕の終わり近くの大宴会の場面で歌うのが「シャンパンの歌」だ。 ♪皆で大いに飲め。その間にオレはカタログを増やす・・・・という歌だが、このカタログとはこれまでにものにした女性のリストである。つまりこれは猟色のための宴会なのである。 この「シャンパンの歌」の中で、伴奏の木管楽器が♪タラタラタラ~と上昇音型を奏する。明らかに勃起する男性の動きを描写しているのだ。オーケストラが全奏で仮借ないリズムを叩きつけるように刻む部分もある。逞しい腰の律動を表現しているのである。 この歌に続くダンスパーティの喧噪の中で、ドン・ジョヴァンニは、その日若い農夫と婚礼を上げる花嫁のレイプを敢行する。それが成功するか失敗するか・・・・はここでは触れないとして、この花嫁も可愛いが、したたかである。 怪我をした花婿を元気づけるために、彼の手を取って自らの乳房に。さりゃ。誰でもそうされれば元気が出ます。その時の花嫁の胸の鼓動をオーケストラが見事に・・・。 別の場面では、ドン・ジョヴァンニに誘惑されて、初めは拒否しながらも、次第になびき、最後は好色帰属の胸に落ちる乙女(花嫁)の心のざわめきも、音楽が見事に活写する。 18世紀のあの時代に凄いよね、モーツァルトは。 ★単に女にだらしない放蕩男のドン・ファンを、社会的・宗教的権威への反逆精神をもつ硬骨漢ドン・ジュアンとして血肉を与えたのは18世紀のモリエール。それが、19世紀のロマン派は「永遠の女性を求めても得られない」乾いた男性像として描くことになる。モーツァルトのドン・ジョヴァンニは、この中では明らかにモリエールの系列である。★ 【4】 さらに、オペラの中で強烈な性描写・性暴力が見られる作品も存在するが、その中で、私が注目しているもののひとつがショスタコーヴィチの『ムツェンスク郡のマクベス夫人』である。 こちらは強姦・情事・殺人・死体遺棄・囚人のシベリア送りと強烈な場面が続き、中にはVシネマさながらのレイプ・シーンが収録されたソフトも市販されている。残念ながら、未見だがいつか視聴したい。ビートルズのライヴ映画なら、先月見にいったんですけどね。 お、今頃は『ワルキューレ』第一幕と第二幕の休憩中である。私の友人は、麦酒を飲みながら薄幸の兄妹の姿を思い浮かべているであろう。 上野って、凄い街だなぁ。 | |
この風俗コラムへの応援コメント(16件中、最新3件)