「じゃあまずこちらで手を洗ってこれでうがいしてください」
彼女の見守る中、キッチンのシンクでしっかり手を洗い、「これ、もう薄まってるの?」とメラミンのマグカップにあらかじめ用意してあったイソジンで念入りにうがいをし、広いシンクの排水口にできるだけ顔を近づけて吐き出してそれを蛇口の水で流した。
キッチンと居間を遮る大きな樹脂パネルの扉が開けられると、電球色のランプだけの十分に暖まった部屋の真ん中には大きなタオルが敷かれた薄いマットがあり、その頭部分と右側の壁には大きな鏡が貼られていた。
部屋の隅には籐で編んだようなテーブルとチェアがあり、その上にはやっぱり電球色の小さなランプとバインダー…
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