タイトル | 風俗店のための消毒入門 |
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投稿者 | ザーメン シェパード |
投稿日 | 2020年08月23日 |
『風俗店のための消毒入門』 シェパードのコロナネタはもう飽きた! という方がほとんどだと思います。 どうぞ、読まないでください♪ 運営スタッフさんにお願いします。 このコラムを、お付き合いのある店舗の方々に御案内してください。局員ではなく、お店の方に読んで欲しくて書きました。 が、どこの馬の骨だかわからない奴の意見に耳は貸して貰えないでしょうから、身バレ覚悟で自己紹介します。 大学院の修士論文は、家畜の感染症の、抗体価の測定方法を開発するための、基礎的な研究で書きました。 就職してからは、家畜の飼育環境や栄養状態をコントロールすることで免疫力を高め、抗生物質を使わずに感染症を予防する方法について研究していました。幾つかの特許を取得しています。 その一環として、様々な方法で豚舎や鶏舎を消毒して、微生物がどれだけ減ったのか?なんて実験を繰り返しては学会発表しました。 その研究に目を付けた編集者から請われて、獣医畜産関係の業界誌に『畜産現場における効果的な消毒方法』なる記事を書いた人間です。世間の獣医師に対して、消毒方法について指導的立場を取り得る人間だったワケ! 今は田舎の、年老いた犬医者ですが‥‥‥ …… 皆様の体験談を読んでいると、最近は各店舗の衛生対策に関する記載が多いですね。お店のスタッフが衛生面に気を配るのは、とても良いことだと思います。 が、正しい消毒の仕方となると、微生物や消毒剤に対する「正しい知識」がなくてはなりません。方法を誤れば効果が無いどころか、人間の健康を損ねてしまいます。 また、テレビやネットの情報を見ると、アッチの専門家とコッチの専門家が正反対のことを言っていて、判断に迷うことも多いと思います。そこで、この記事では結論だけを提示するのではなく、背景の理論をできるだけ細かく御案内いたします。そこの所を把握しておけば、テレビに出てくる似非専門家のいい加減な話に惑わされる心配もなくなります。 (時々、脳外科の大家みたいなコメンテーターがワイドショーで8割おじさん=西浦博士を批判してますが、トンデモない話です。脳外科の大家は、それは優れた頭脳の持ち主ではありますが、こと感染症や疫学に関しては全くの素人であり、その話の内容たるや、アホ臭くて聞いていられません!) 結果としてベラボウに長い記事になってしまいますが、お暇な折りにでもお付き合いくだされば幸いです。 【前提 この世はRPGじゃない】 RPGだと「聖なるアイテム」さえ持っていれば、確実に魔王の呪いを防御できます。 が、現実世界ではそんな話はあり得ません。これさえヤれば確実にコロナを防げる!なんて方法は存在しません。また逆に、対策を講じなければ確実にコロナにヤられる!というワケでもありません。正しい対策を講じることで、ヤられる可能性を低減できる!あくまでも確率の話です。その確率を少しでも良くするためには、小さな努力を積み重ねて行くしかありません。 【基礎知識 細菌とウイルス】 細菌は単細胞生物です。体の中に「核」があり、その中に遺伝子=DNAを持っています。核の回りに「細胞質」がある。細胞質には様々な酵素があって、栄養素の代謝を行っています。細胞質の回りは「細胞膜」。タンパク質と脂質で構成された薄い膜ですね。その外側にはセルロース製の被殻「細胞壁」があります。大きさは種類によって大小様々ですが、食中毒で有名な「黄色ブドウ球菌」は直径1.0μmの球形で、細菌としては小さい部類に入ります。 1μmは1mmの千分の一です。 ウイルスは、タンパク質で作られた「カプシッド」という殻の中に、遺伝子としてDNAもしくはRNAを持っているだけ。細胞質、酵素を持っていません。動物の細胞内に侵入して、その細胞内にある酵素を借用して栄養素の代謝を行い、増殖します。カプシッドの回りには、「エンベロープ」と呼ばれる脂肪の膜を、持つウイルスと持たないウイルスがあります。噂のコロナやエイズやインフルエンザのウイルスはエンベロープを持つウイルス。集団食中毒で有名なノロウイルスはエンベロープを持たないウイルスです。大きさは種類によって大小様々ですが、噂のコロナウイルスは直径0.1μm(ウイルスとしては最大級)のほぼ球形で「スパイク」と呼ばれるトゲがはえています。 両者の大きさを比べてみましょう。球体の体積は直径の三乗に比例しますから、コロナウイルスの体積はブドウ球菌の千分の一。表面積は直径の二乗に比例しますから、コロナウイルスの表面積はブドウ球菌の百分の一。 従って「体積に対する表面積の割合」を比較するとコロナウイルスはブドウ球菌の十倍、ということになります。ここ、後で重要な意味を持ちますから、ノートに書いといてください。試験に出ますよ !? 【滅菌ではなく消毒で良い】 「滅菌」という言葉があります。細菌やウイルスを一匹も残さずに殲滅すること。私たち獣医師や医師が使う手術道具とか注射器なんかは『滅菌』されたものを使います。が、これには特殊な機材や危険な放射線や毒性の高い化学物質が必要。コストも掛かる。風俗店で日常的に行うのは不可能です。 対して『消毒』というのは読んで字の如し。毒性を消せば良いんです。 フグ毒(テトロドトキシン)は、たったの1mgで人を殺せます。青酸カリですら人を殺すには200mgは必要ですから、トンデモない猛毒ですね。オマケにこいつは300℃まで加熱しても破壊されないシロモノ。文字通り「煮ても焼いても食えない」ワケです。 が、水さえあれば簡単に消毒できます。 多摩地区の住民四百万人を殺害せんと企んだアホなテロリストが、4キロのフグ毒を用意しました。四百万人分の致死量です。そいつを多摩地区の水瓶、奥多摩湖に投入したら‥‥ 奥多摩湖の貯水量は2億トン。フグ毒の濃度は思い切り薄まっちゃいますから、1mgのフグ毒を摂取するには、50トンの水を飲まなくてはならない。 そう、ただの一人も殺せないんです。 二億トンの水は4キロのフグ毒の、毒性を消すことができる。毒性を消す=消毒です♪ (法律の世界では、「消毒」という言葉は勝手に使えないことになっています。お役所の許認可無しに「消毒」という言葉は使えません。例えば集団食中毒で有名なノロウイルスは、アルコール消毒剤ではびくともしない。が、塩素系漂白剤で簡単に不活化できます。しかし、多くの塩素系漂白剤は、お役所の許認可を取っていないので消毒効果を宣伝できない。代わりに「除菌」という言葉を使います。この文章では、そういうアホな許認可を無視しています。) コロナ対策として「換気」が推奨されるのもコレと同じ。大量の空気でコロナを含む飛沫の、空気中の濃度を下げてしまう。 どんなに凶悪なウイルスでも、10個や20個のウイルスを吸入しただけでは感染しません。私たちの体には「細胞性免疫」と呼ばれる防衛組織が備わっていて、侵入してきた微生物を片っ端から殺していく。その時に主役を演じるのがマクロファージとTリンパ球。彼らの能力を上回る大量のウイルスが、ドンとまとまって侵入してこない限り、感染は成立しません。 ウイルスとの闘いでは多くのマクロファージとTリンパ球が消耗しますが、前者は骨髄、後者は胸腺という組織で、ガンガン増産されていきます。 グルメな方なら、「リードボー」とか「アニメッラ」という言葉をご存知かと思います。前者はフランス語、後者はイタリア語。どちらも高級食材、「子牛の胸腺」です。 何故、「子牛の」という断り書きが着くのかというと、成長とともに小さくなっちゃうから、なんですね。そう、動物でも人でも、胸腺は加齢とともに小さくなり、Tリンパ球を再生する能力は弱くなります。 マクロファージを再生産する骨髄は、とんこつラーメンの出汁になる組織。どうやら免疫関係の組織ってのは美味しいらしい‥‥‥が、 この骨髄も加齢と伴に仕事をしなくなり、ただの脂肪組織に変わっていきます。 コロナをはじめとする多くの病気で、高齢者ほど重篤化しやすいのは、そのためです。 さて、以上の理屈を知った今、「どうせウイルスをゼロにはできないんだから、対策なんてしたって無駄さ!」などという投げやりな考え方は出て来ないでしょう。ウイルスの量を少しでも下げれば、感染する確率は低くなるし、たとえ感染しても軽症で済む。すなわちウイルスの毒性が低くなる♪ ウイルスの量を減らす=消毒です! 更に重要なのは、免疫細胞の負担を減らすこと。たとえば一般的な風邪の原因となる在来型のコロナウイルスやインフルエンザウイルスと闘って免疫細胞の数が減ってしまったら、新型コロナに対する抵抗力も下がってしまう。感染しやすく、重篤化しやすくなる。 少し前に『風俗嬢をコロナから守ろう』というコラムを書きました。その中で「今だけでも即は辞退しませんか?今だけでもゴムを使いませんか?」と提案したのは、そのためなんです。 そしてまた風俗店のスタッフとキャストの皆様は、「休肝日」ならぬ「休胸腺日」を取るようにしてください! 鬼出勤はダメ。きちんと休む。人混みを避けて家でのんびりする。そうすることで免疫細胞の活力がアップします。 ‥‥‥ では、ウイルス量を減らす具体的な方法に話を進めましょう。 まずは換気。開店前、閉店前はもちろん、営業時間中も定期的に窓を全開にして換気をしてください。箱型風俗店なら、一人の客を送り出すたびに部屋の空気を入れ換える。地下にあるなど、どうしても無理なら換気扇を高性能なものに換えてください! 次に、マスクについて。 「不織布の繊維の隙間はウイルスよりも百倍も大きいから、マスクなんかしてもウイルスは素通りしちゃうよ!マスクは感染予防の役には立たないよ!」 ウイルスの大きさをも考慮した科学的な話に聞こえますが、ちっとも科学的じゃない。獣医学部の学生が言ったら、単位を取れずに留年します。 ウイルスは人や動物の、細胞の中に侵入して増殖します。ウイルスに侵入された細胞は死滅して剥がれ落ち、呼気と一緒に体外へ排出される。つまり、患者から排出されるウイルスは、体液と細胞の死骸に包まれた「飛沫」の中に存在している。素っ裸のウイルスがフワフワ浮いてるワケじゃないんです! 中には素っ裸で漂ってるウイルスもいますけど、そんなヤツは空気中の酸素に触れれば即座に酸化されて失活しちゃう。 ウイルスの表面はタンパク質と脂肪でできている。ビーフジャーキーと一緒♪酸化されやすい。この酸化という化学反応は、空気に接触している表面から起こります。 ここでノートを取り出してください。体積に対する表面積の割合。コロナウイルスはブドウ球菌の十倍。と、いうことは‥‥‥ コロナウイルスはブドウ球菌の十倍の速さで酸化される。厚さ2ミリのビーフジャーキーの、二万倍の速さで酸化されるんです! もう瞬殺ですよ、三こすり半♪ 体液と細胞の死骸に包まれ、守られているウイルスだけが活力を保っていられるワケ。 その飛沫にも、大小さまざまな大きさのものがありますが、大きい飛沫にはたくさんの、小さい飛沫には少しだけのウイルスが含まれている。そしてまた、飛沫の表面にいるウイルスは酸化されやすい。従って、飛沫の直径が十倍違ったら、中に含まれている活きたウイルスの数は一万倍も違います! ですから感染者がマスクをしていれば、ごくごく小さな飛沫や素っ裸のウイルスは通してしまいますが、大きな飛沫を撒き散らして、器材や食品を濃厚汚染させるような事態は防げるワケ。 そしてまた、素通ししてしまった小さな飛沫に関しても、その飛行距離は大幅に短縮できます。これは簡単に実験できるので、キャバクラで女の子と一緒に試してみてください。 腕を一杯に伸ばしたところで使い捨てライターを灯して、吹き消してください。実に簡単に吹き消せます。 次に、マスクを着けて、吹き消せるかな~? アベノマスクを付けた状態でライターを吹き消すのは、まず不可能! が、目の前に漂って来たタバコの紫煙。これはたとえマスクをしていても簡単に吸い込むことができる。だからマスクをしていても己の身は守れません。ここ、重要です! 「コロナなんて風邪だろ?俺はちっとも怖くないね。だからマスクもしないよ!」 などという勇敢な奴がいたら教えてあげましょう。マスクでは己の身は守れない。マスクをするのは他者を守るためなんだ、と♥️ 従って、店舗スタッフ及び客とのキスが基本サービスに含まれていないキャストは、常にマスクを着けていなければなりません。キスが売り物のセクキャバ嬢も、休憩室ではマスク着用が必須です。 このマスクに関して、笑っている場合じゃない笑い話があります。 私の娘は警察犬訓練士なんですが、軍用犬の調教方法を学ぶため、数年前にドイツへ留学させたんですね。 先輩から「資材を取って来い」と言われて倉庫に行ったら、ちょうど別の先輩が倉庫から出てきた。その先輩曰く 「倉庫の中は埃っぽいからマスクした方が良いよ!」 マスコを持ち合わせていなかった我が娘。どうしたものかと立ちすくめば、 「マスクないの?じゃ貸してあげるよ♪」 自分が着けてたマスクを外して、渡されたってんだから驚きです!断ったら先輩に失礼だと思って着けたけど、その日は気分が悪くて食事が喉を通らなかったとか‥‥‥ 西ヨーロッパでは日本やアジア諸国とは桁違いの感染者と死者が出ていて大きな謎とされていますが、この話を聞いていた私は、ちっとも不思議に思っていません。 一事が万事。衛生観念が違い過ぎる! では手洗いの話に移りましょう。お店に着いたら最初に手洗い。マスクを外す前に手洗いです。ウイルスは体液の飛沫の中、細胞の死骸にくるまれているワケですから、空気中の酸素に酸化される心配もなく、たとえ消毒薬をお見舞いしたところで、肝心の消毒成分はウイルスに届きません。ですから、先ずはウイルスを守るバリアーを破壊しなけりゃダメ。そのためにはやはり石鹸を使うのがベターでしょう。 それが済んだら消毒です。まずは綺麗な布もしくはペーパータオルで水分を完全に拭き取ります。それからアルコールを使います。アルコールを噴霧して両手を揉みながら満遍なく手のひら、手の甲、指全体に広げて揮発するのを待つ。いつまでも蒸発しないのはアルコール濃度が下がってしまっている証拠ですから、消毒効果が期待できません。 この手洗いとアルコール消毒は客に対しても厳しく要求してください。姫様を守るため。 特に強くお願いしたいのが、お金を払った後に手洗いさせること。お金ってのは多くの人の手から手へと遍歴していますから、その表面にはビックリするくらい多くの微生物が付着しています。 (そんな汚いものはいらない!と言うのであれば私が貰ってあげますよ♪) セクキャバの場合、場内指名するとかキャストドリンクを頼んだとか、プレイ中にお金を触る機会があります。その後、お金を触った汚い手指で女の子のアソコ(こら!)じゃなくてオッパイを触っちゃダメ!アルコール消毒してからプレイ再開するべきです。 ではアルコール消毒液の作り方を御案内。 人によって80%が良い!とか、70%だ!とか意見が分かれます。そこのところも詳しく説明いたします。 既製品を買うよりも、「局方、無水エタノール」を購入して水で薄めた方が安上がり♪ 目盛りが付いてる500mlのスプレーボトルに無水エタノールを400ml入れます。そこに水道水を追加しながらボトルを振って撹拌しつつ、全体の量を500mlにしてください。 無水エタノール400mlと水100mlを足したのではダメ。エタノール分子と水分子が入れ子状態になって体積が減りますから、全体の量が500mlになるまで水を足してください。 これで、容積比で80%、重量比で70%の、消毒用アルコールの出来上がり。エタノール分子の数と水分子の数が同数となり、最強の殺菌効果を発揮します♪ 80%を勧める人は容積比の話をしている。 70%を勧める人は重量比の話をしている。 両者は同じものを勧めているのでした♪ なお、「工業用アルコール」として「メタノール」というものも売られていますが、コイツは人体にとって猛毒ですから、絶対に使ってはいけません! 使ってエー!のはエタノール 使っちゃメッ!なのはメタノール 消毒用アルコール(エタノール)が品薄になっていることから、最近は塩素消毒を推奨する方もいらっしゃいますが、これはオススメしません。手が荒れますから。男性スタッフの手が肌荒れしても私はちっとも困りません(こら!)が、女性キャストの肌荒れは商品価値の下落ですよね? さて、塩素で思い出すのは噂の「空間除菌」です。これに関しては世間で意味不明の論争が起きていますので、少し詳しくご紹介。 塩素消毒剤のメーカーが「塩素による空間除菌」なるものを売り出したら、厚生労働省や各地の医療関係者や研究者が猛反発。WHOまで見解を発表する騒ぎ。非難されたメーカーは他に仕事の無い?専門家を雇って反撃。 「塩素消毒はコロナウイルスに対して有効だと証明された!」 「塩素消毒は安全性が高いと証明された!」 というデータを次々と発表したワケです。 これ、私に言わせると、本当の笑い話です。 もともとコロナウイルスのように、エンベロープを持つウイルスってのは、あらゆる病原体のなかで「最も簡単に消毒できる」ものなんです。アルコールで瞬殺できる。一方のエンベロープを持たないウイルスってのはアルコールが全く効きません。 アルコールは、あらゆる消毒剤の中で最も取り扱いが容易だから多用されているワケですが、そのアルコールが効かない病原体を何としてでも消毒したい!という時に、止むに止まれず危険を承知の上で使用するのが、塩素なんです。 塩素消毒がコロナウイルスに効くかどうか?わざわざ試す必要なんて普通の専門家は考えません。塩素の効かないウイルスが発見されたら医学界が大パニックを起こします! また、塩素消毒が人体に害を与えない使用方法も、ある程度は確立されています。イチバン良い例が水道水でして、これには「次亜塩素酸ナトリウム」という塩素系消毒剤が含まれています。プールもしかり。 プールは皆様、子供の頃に学校で入りましたよね?その時に先生がプールの水を試験管に取って、なにやら理科の実習みたいなことをしていたでしょ?クラスメートの女の子の、スクール水着姿をガン見してた人は気付かなかったかな !? あれは何をしていたかというと、水質検査をしていたのです。プールの水の、塩素濃度が適正に保たれているか否か? 低過ぎたら消毒効果が出ない。高過ぎたら子供たちが健康被害を受ける。だから1時間毎に水質検査をしてデータを記録し、異常があれば直ちに対策を講じることが義務付けられています。 そして先生方は、塩素に関する基礎的な知識を学び、取扱方法に関するトレーニングも受けているワケ。 要するにズブの素人では扱えないシロモノなんですよ、塩素ってのは。 つまり「塩素による空間除菌」には、間違いなく効果が期待できる。が、効果的かつ安全に運用するためには空間中の塩素濃度を定期的に測定し、異常が見られた時の対処法がマニュアル化されてなくてはならない。そのマニュアルを作るために必要なデータが現時点では不足している。というのが問題の本質。 従って空間除菌装置を販売したいのであればメーカーは、その装置にはどのような危険性が存在し得るのか?その危険性を回避するためには、どのような準備が必要なのか?問題が起きた時の対処法は?などといったデータを提示する必要がある。 それをしないで「安全です」「有効です」の一点張り。これでは議論になりません。 ‥‥‥ それでは塩素を正しく使える漢になるための基礎知識を勉強しましょう!塩素を売りたい営業マンは、 「当社の製品は次亜塩素酸ナトリウムではなくて次亜塩素酸水ですから安全です!」 などとヤヤコシい話をして来るでしょうから両者の違いについても詳しく解説します。 途中で読むのが嫌になったら、♥️が並んでいる場所まで読み飛ばしてください。 「こんな面倒な話はゴメンだね。面倒臭いから塩素を使うのは止めよう!」 という方が一人でも多く現れてくだされば本望です♪ ‥‥‥ 塩素が何故、消毒効果を持つのか?皆様、高校の、化学の教科書を取り出してください。え?そんな大昔の物は残していない?おかしいですね。HPのプロフィールだと、貴女は春まで高校生だったはず‥‥‥ ネットで検索して、「元素の周期表」を取り出してください。右から二番目の列を見ると、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が縦に並んでいますね。これらの元素はまとめて「ハロゲン」と呼ばれています。その右側の列は上から順にヘリウム、ネオン、アルゴンなんてのが並んでいて、「貴ガス類」と総称されています。 貴ガスの「貴」は「貴金属」の「貴」と同じ意味。「変化しにくい」という意味です。金とか銀とかプラチナってのは変化しにくい。劣化しにくい。錆にくい。どうしてかというと、化学反応を起こしにくいから、です。 話をわかり易くするために少しだけ非科学的な表現を使いますが、原子の表面がツルツルのスベスベで凹凸がないから、他の原子とくっ付き難いワケ。 その一つ左側に並んでいる「ハロゲン」の原子は、スベスベの状態から電子が一つだけ少ない。つまり原子の表面に「電子一個分の凹み」がある。だから他の原子や分子の表面に飛び出している電子とくっ付き易い。 さて、ハロゲン元素がタンパク質や脂肪と出会うと、その表面に飛び出している電子と件の凹みが結合します。タンパク質や脂肪の側にしてみればハロゲン元素に電子を奪われた格好になる。この電子を奪い取られる化学反応を「酸化」と呼びます。 ハロゲン元素は他の物質を酸化させる。 酸化した物質は化学的な特徴が変化する。 ビーフジャーキーが酸化したら食べられなくなります。 細菌が酸化したら死にます。 ウイルスが酸化したら不活化します。 塩素などのハロゲンは、微生物を酸化することで消毒効果を発揮するワケですね! 問題なのは、私たちの体もタンパク質と脂肪でできている事。私たちの体も、塩素などのハロゲンに出会うと酸化されてしまう! 幸いにも私たちの体細胞はウイルスよりも遥かにデカい。従って「体積に対する表面積」の割合が小さいので、「有効塩素」の濃度を上手に調整すれば、ウイルスは死ぬけど体細胞は死なない!という嬉しい状況を作り出すことが可能となります♪ では、その「有効塩素」の濃度をコントロールするには、どうしたら良いのでしょうか?その前に、「有効塩素」とは何なのか?御案内いたします。 塩素はタンパク質や脂肪を酸化することで消毒効果を発揮します。が、塩素と結合しやすい化学物質と強固に結合してしまった塩素原子は、もはや他の物質を酸化できません。タンパク質や脂肪に出会った時、相手を酸化することが可能な状態の塩素原子を、「有効塩素」とか「残留塩素」と呼びます。 もし塩素を含んではいるけど安全な液体があったとしたら、その液体の中には有効塩素が少ない、ということです。消毒効果は無い。 もし消毒効果の高い塩素を含む液体があったとしたら、有効塩素が多い、ということ。人体をも酸化しちゃう。有害です。 ‥‥‥ 次亜塩素酸ナトリウム Na Cl O の結晶を水に溶かすと、Na+ と Cl O- に電離します。 前者がナトリウムイオン。 後者が次亜塩素酸イオン。 この次亜塩素酸イオンは非常に強力な漂白作用を持っていますが、殺菌力は弱い。 が、この水溶液に塩酸やクエン酸などの酸を加えると水素イオン H+ の濃度が高くなる。 (酸性とは即ち水素イオン濃度が高い、という意味です。) するってえと、次亜塩素酸イオンに水素イオンが結合して H Cl O という物質になる。 H+ + Cl O- → H Cl O この H Cl O が噂の「次亜塩素酸」 次亜塩素酸イオン Cl O- の百倍に近い強烈な殺菌効果を持つ物質です!コイツで殺せない微生物なんて滅多にいません♪ そこへ更に酸を加えると‥‥‥ H Cl O + H → H2O + Cl そう、塩素が追い出されちゃう。 これが噂の塩素ガス。吸ったら死にます! 「ハイター」とか「ブリーチ」とか、塩素系漂白剤のボトルに書いてありますよね? 「混ぜるな危険!」 塩素系漂白剤とトイレの洗剤(多くの場合、塩酸などの強酸を含んでいる)を混ぜたら確実に死にます! が、ご安心ください。ハイターもブリーチも次亜塩素酸ナトリウムに追加して水酸化ナトリウム Na O H を添加して強アルカリ性に作ってありますから、よほどアホな使い方をしない限り安全です。 一方の「次亜塩素酸水」は、次亜塩素酸のみを含み、アルカリイオンであるNaを含んでいないように作ってありますから、素人が下手な扱いをしたらば一発で事故ります。 私たち医療関係者は化学の基礎を学び危険な薬剤の取り扱いに関してもトレーニングを積んでいる。そして仕事の内容によっては、思い切り強力な消毒剤を使わねばならない場面もある。次亜塩素酸水を多用します! 具体的には「アンテックビルコン」という商品です。犬猫病院やペットショップ、トリミングサロンなどで、ガラス瓶に入った赤い液体を見たら、それがアンテックビルコン。 仔犬にとって最も恐ろしい病気であるイヌパルボウイルスはエンベロープを持たないのでアルコールが効きません。が、次亜塩素酸を使えば秒殺♪だけど次亜塩素酸は極めて不安定なので、モタモタしてると消毒する前に分解しちゃう。(化学反応が急激に進む、という話。速効性のある化学薬品は賞味期限が短いんです。) ところがこのアンテックビルコンは、複雑な化学反応で常に一定濃度の次亜塩素酸が保たれ続ける、という優れもの。それでも長期間が経って有効塩素濃度が低下すれば、赤い色が消えることで一目で判別できるんです♪値段は高いけど、それだけの価値があります。 が、思い出してください。コロナウイルスの性状を!エンベロープという脂肪の膜を持つウイルス。あらゆる病原体の中で最も容易に消毒できるタイプのウイルスです。 そんなウイルスを消毒するのに次亜塩素酸水のような「最終秘密兵器」を使うってのは、ハエを叩くのに金属バットを持ち出すようなもの。部屋の中が滅茶苦茶になります。 ですから、コロナ対策として塩素を使うならばハイターやブリーチを使えば十分。いや、むしろ効果も高いんです! ここで理科の実験をしましょう。安全のために保護メガネをかけて、ハイターの原液を両手に付けて擦り合わせてください。濡れた手で石鹸を触ったみたいにヌルヌルする。 これは強いアルカリの影響で、皮脂が分解されて石鹸が作られたから、なんですね。この化学反応は「鹸化」と呼ばれています。貴方の手の皮脂で石鹸を作ったワケ♪ 汚れが落ちて良かった♪などと喜んでる場合ではございません。皮膚を防護する皮脂を失ったのですから重度の肌荒れを起こします!直ちに水で洗い流して保湿クリームを塗ってください! なお、保護メガネを用意させたのは、ハイターの原液が目に入ったら、最悪、失明する可能性すら、あるからです。 さて、危険な実験をやらせるな!と怒る前に思い出してください。コロナウイルスは体液と細胞の死骸に包まれて、保護されているんでしたよね?そのバリアーを破壊しなければアルコール消毒も効かないんでしたよね? ハイター(次亜塩素酸ナトリウム)には、そのバリアーを破壊する力がある♪ 家庭的な姫様がここまで読めば、重大なことに気付くと思います。 「だったら普通のハイターよりもキッチンハイターの方が良いんじゃない?あれなら界面活性剤(洗剤)が入ってるし。」 おっしゃる通りです。そしてその考えを更に進めて行けば、 「別に塩素なんか入ってなくても、普通の中性洗剤じゃダメなの?」 そうなんです。それが私の結論です。 手すりやドアノブの消毒なんて、中性洗剤を含ませた布で拭くだけで十分なんです! 塩素は確かに優れた消毒剤ですが、金属を腐蝕させたりナイロン繊維を痛めたり、肌荒れを起こしたり場合によっては人の命さえ奪うのですから、たかがコロナごときの消毒に使う必要はないんです。 あんなヘナチョコウイルスは界面活性剤だけで失活しちゃうんですよ♪ (界面活性剤という言葉は御存知ですよね?そう、洗剤のことです。「海綿体活性剤」ではありません。海綿体活性剤ってのはバイアグラとか、レビトラとか‥‥‥) ♥️♥️♥️♥️♥️♥️♥️ 塩素の話はこれでお仕舞い。周期表に戻りましょう。塩素の下には「臭素」がある。この臭素もハロゲンですから他の物質を酸化させます。殺菌力があります。だから昔は「さつま揚げ」などに練り込んで、日持ちが良くなるようにしていました。発ガン性が確認されて使用禁止になったのは1980年代だったと記憶しています。 臭素の下が「ヨウ素」。大阪府知事の爆弾発言で有名になった「ポピドンヨード」の有効成分ですね。ヤッパリ酸化力を発揮して微生物を消毒します。が、酸化力が塩素に比較してマイルドですから、皮膚に付けても安全。その代わりに次亜塩素酸のような、爆発的な瞬間的殺菌効果は期待できません。 医学領域では口腔内の殺菌や、手術で切り開く部位の、皮膚の消毒などに利用します。 府知事の会見から一夜が明けて、店頭からポピドンヨードが消えた瞬間、厚生労働省がフザケた声明を出しました。「ポピドンヨードの連用は健康を害する恐れがあるし、コロナ予防の効果は未確認。」 有効性と安全性を確認した上で「医薬品」として許認可したのはドコの誰?と聞きたくなります。 理由はひとつ。日本中の医者と歯医者と獣医が迷惑してるから!ポピドンヨードは医療現場に欠かせない。だから一般消費者に対して使用をひかえさせたいワケです! では風俗店での利用は、どうなのか? 費用対効果を考えた場合、客にはヨードを使わせるべきですが、女の子は水道水でのウガイで十分だと考えています。 ウガイの効能は、唾液中のウイルスを洗い流すこと。肺の奥から吹き出されるウイルスを減らすことはできません。しかも唾液中のウイルス量が低下するのは小一時間。この長さは、ヨードの有無には無関係。 ヨードのウガイは、コロナ対策よりも他の細菌性感染症から女の子を守るためだと考えてください。 ではではコロナ対策としてウガイは無意味なのか?と言うと、そうではない。これは日常的に、かつ頻繁に励行すべき、極めて重要なコロナ防御になります! どこそこでクラスターが発生しました! 感染経路はどこそこでした! こんなニュースを聞いていると、一般の方は「感染」というイベントは瞬間的に一回だけ起こるものだと考えてしまうかと思います。 が、そうではない。風邪の季節になったら私たちは、毎日続けて、日に何度も、風邪ウイルスの波状攻撃に晒されます。その度に体内のマクロファージとTリンパ球は疲弊して行く。 感染して体内でウイルスが増殖を始めてからは、自身の体内で増殖したウイルスが口腔内に蓄積して、再び体内に入ってくる。 そうやって体内に入ってくるウイルス量が多ければ多いほど、症状は重くなります。 ですから、たとえコロナに感染しても、潜伏期間の間に小まめにウガイをしておけば、無症状のままに免疫が成立して治っちゃう確率が高くなるし、発症しても軽症で済む確率が高くなる♪ 日常的に、日に何度もウガイをするのは、極めて効果的な健康法です!たとえヨードを使わぬ水道水のウガイであっても。 私は仕事柄、毎日、数えきれない回数の手洗いとウガイをしています。もうヨードなんて使ってる場合じゃありません。ヨードでウガイしたら、条件反射で勃起しますから♪ ‥‥‥ ウガイの効能と作用機序を理解できたら、多くのことが見えて来ます。 まず、セクキャバ、ピンクサロンの店長さんにお願いしたい。来店時にウガイさせるだけではなくて、退店時にも客にウガイさせてください。客の健康のために。客が病気になったら、来てくれなくなりますよ! そして女の子が回転する場合、その都度、客にウガイをさせてください。 そして最後に(これは冗談ですが、)キスもしないでお喋りばっかりしているセクキャバ嬢には厳罰を与えてください! ウガイをすれば唾液中のウイルス量は一時的に減少します。その状態でキスをすれば、どちらかがウイルスに感染していても相手にうつす可能性は低くなります !? が、お喋りしてると肺の奥から吹き出されるウイルスが相手に感染してしまう !? ‥‥‥ 塩素は使うな!ヨードは無くても良い! 『消毒入門』と言っておきながら消毒剤を否定するような話ばかりなので、驚いた方もいらっしゃると思います。 数十年前、業界誌に書いた『畜産現場における効果的な消毒方法』も、実は同じテーマでした。 お肉にする鶏を全て出荷した空の鶏舎を消毒する時、最初に洗剤を使って水洗いします。そして数日間は放置してカラカラに乾燥させると、99%以上の微生物が除菌されます。 それから消毒剤を散布する。 これが最も効果的なんですね♪ 最初に洗剤の代わりに消毒剤を散布して水洗いしたのでは、90%の除菌すらできない。 消毒剤には汚れ(病原体を包むバリアー)を破壊する能力が無いから、です。 新鮮な空気と衛生的な水と界面活性剤。 身綺麗で無理をせぬ規則正しい生活習慣。 これがコロナを含む、ありとあらゆる病原体を減少させるのだと、肝に銘じてください! | |
この風俗コラムへの応援コメント(32件中、最新3件)
- リダンナ(104)2021/2/8>>ザーメン シェパード(287)の『風俗店のための消毒入門』のコラムマイコラムに入れて
後で読もうと思っていたのが
いまごろに…
介護福祉士としては
一字一句逃さず読みました。
頭に入ったのがヨードでウガイすると
勃起しちゃうかも…でした。
新鮮な空気と衛生的な水と界面活性剤。
身綺麗で無理をせぬ規則正しい生活習慣。
スタッフを含め
高齢な利用者の為にも
コラムの内容を活用していきたい。
コロナウィルスは
間近にいるのかもしれない
すでに体内に何回も侵入されているかもしれない。
怖がってヒステリックに消毒しそうでした。
ウィルスを守る飛沫を掃除して
できるかぎり数を減らす。
あとは体内の免疫達を応援しよう。
こんな理解で良いですか?
先生! - 洗濯屋のケンちゃん(15)2020/8/27>>ザーメン シェパード(287)の『風俗店のための消毒入門』のコラムこれで最後にします。長々と申し訳ありません。
各論についてはザーメンシェパードさんの意見とほぼ変わらないです。
ただ、例えば手洗いは「非感染者が自分を感染から守るための対策」でしょう。
感染者は手洗いしたところでウイルスは後から後からひっきりなしに排出されるので。
なので手洗いすべきタイミングは、「何かを触った後」でしょう。
…まあしょっちゅう手洗いしてれば前も後もないですが(笑)
あと気になってるのが最近デフォとなったセルロイドやビニールの仕切り。
これ、定期的にアルコール噴霧するか清拭しないと、表面に付着したウイルスが再び空中を舞って…ということになるだろうなぁ。
お会いしてコロナ対策と風活について、みっちりお話ししたいところではありますが(密にならないように笑)、とりあえずここまでにします。
長文連投、失礼しました<(_ _)>