【舐め太の春琴抄
~これからが楽しみな琴ちゃんとの逢瀬💖~】
旅籠街は何かと淫靡な香りがする。
置き屋で支払いを終えた舐め太は、秋の柔らかな風に漂うその香りを嗅ぎながら目的の旅籠に歩を進めていた。
道中、すれ違う女は、皆、小綺麗な衣服に身を包み、男たちは日常を離れた興奮に紅潮した顔をしている。
舐め太は男たちの姿に自身を見て、襟を正した。
「琴はまだ若く、今日が二回目の出勤。餓えた姿なぞ見せてはいかん」
そう呟いて部屋に入った。
置き屋に入室の連絡を入れ、身繕いをする。
鏡に写る己の姿におぞましい影を見つけ、
「笑顔で迎えねばな」
柔和な微笑みを拵える準備を…
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