◆お店からのコメント■間違いない
メールのやり取り、電話の会話。会わずともこの人は間違いないと思った。ただ簡単なやりとりをしただけなのに。
その確信は、面接をした後も、一緒に働くようになった今も変わることはない。
美鈴さんは間違いない女だ。
山陰の田舎育ち。公務員の父親と専業主婦の母に育てられ、三世代同居で良好な家庭環境。
小さい頃から、ピアノに剣道、その他ひと通りの習い事に通い、剣道に至っては段も所持している。
内面から醸し出す品の良さや礼儀正しさは、きっとそのあたりから由来するものだろう。
その反面、小さい頃から人一倍性に興味があり、初めてのオナニーは小学校低学年。処女は16歳で卒業した。
恵まれた家庭環境で育ったが、若い頃は結構ヤンチャもした。高校を卒業後、看護学校に進学するものの妊娠発覚で中退。
相手は3歳年上の先輩。相手はなんと実の妹の彼氏だった。
地元ではファンクラブがあるほどのモテ男だった元旦那様。どうしても手に入れたくて、美鈴さんの猛アプローチで略奪婚。しかしデキ婚にも関わらず僅か2年足らずで離婚。
手に入れたいと思ったものは実の妹からでも後先考えることなく奪い取るほどの情熱家で恋愛体質の一面が垣間見えるエピソードだ。
2度目の結婚は今も続いていて、およそ20年連れ添っている。
結婚は2度。しかし男性経験は3桁超え。これはいかに……。
■主導権は完全に美鈴さん
美鈴さんは小柄だがスタイルもよく、細い脚が際立つミニスカートが似合う人だった。際立って美人というわけではないが、独特の甘い雰囲気で男を虜にしてしまうような、掴みどころがないのにどうしても知りたくなってしまうような、魅力的な人だ。
その雰囲気に飲み込まれないように、不意をついてエッチな質問をぶつける。
「濡れやすいほうですか」
「すいません……、濡れやすいんです」
最初が肝心と直球に踏み込んでみたら、緩いけど確実な答えが返ってきた。
面接中に何度も僕の肩に軽く触れる自然なボディータッチ。
そして言葉の端々ですいません……と付け加えるのだが、その言い回しが妙に色っぽい。「どんな男の人がタイプなんですか」
「ダメな人が好きですね、というかダメな人にしてしまうんです……。いつも尽くし過ぎてしまって……」
ねっとりとした甘い声でそんなことを言われると、ダメにされた自分をつい想像してしまう。
「経験人数は3桁とお聞きしましたが、旦那さんにご不満でも?」
「離婚して独り身になっていた期間が数年ほどあったのでそのとき色々と。けど本来男の人が好きなんです。いろんな人と付き合いたいんです。すいません……惚れっぽいのかもしれません」
そう言いながら、今度は美鈴さんの手が僕の太ももにそっと触れる。
「美鈴さんてエロいですよね」
「すいません……それよく言われるんですけど自分では分からないんです。けど初めてのエッチの後は大体言われますね」
いつもならもっとふざけられるのに、自然なボディータッチと、ねっとりと甘えた話し方に翻弄されて、ありきたりな質問しか思いつかないでいる。
主導権は完全に美鈴さんにあった。
「どんなエッチが好きなんですか?」
「焦らされるのが好きですね。Mなのかな。遊び慣れた男性からの押しに弱いのかもしれません……」
そう言うと美鈴さんの手が、急に僕の胸元に近づく。え、ここで乳首責め!? と興奮と驚きの両方に襲われる。結局思惑通りには行かず、その指は乳首スレスレのところに触れた。
「すいません……、埃が気になっちゃって」
ああ、この人は男をダメにする方法をわかっている。
彼女にするには軽すぎるし、妻にするには近すぎる。ただこれだけは言える。
美鈴さんは間違いない女だ。
2023/06/14 17:19更新